てんかん重積症の治療にはバルプロ酸?でも迷う、第1選択薬は何にする?

名無しの医学生1

薬学の古いノートを見返しています。様々な抗てんかん薬の種類とそれらの作用を、色々と構造式を描いて勉強していました。抗てんかん薬は本当にすごくたくさんの種類があるから、その仕組みを描いていたものなのですが、その中でバルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン、セレニカ)はてんかん治療の世界では「スイスのアーミーナイフ」と記していたんです。てんかん重積のアルゴリズムではなぜそう言われているのでしょうか?


名無しの医学生2>名無しの医学生1

自分が知っている限りだと、バルプロ酸はフェニトインの代わりに使えるはず。PubMedで検索してみて。ダウンロードできるよ。

http://faculty.neuroscience.ucla.edu/institution/publication-download?publication_id=224363

 

ボストンの医師

バルプロ酸はたまに出すけど、リンク先の記事にもあるように、ロラゼパム(商品名:アチバン)を投薬してホスフェニトイン(商品名:セレビックス)を静注しても、まだ発作が収まらない患者の場合は、また別の抗てんかん薬を追加投与することに躊躇するよ。ミダゾラムやプロポフォールの追加に踏み切る前に、投薬した効果を監査する必要があるよね。色々と試してみるんじゃなくて、症状をちゃんと把握して発作を抑えて、コントロールしていく必要がある。発作がいったん止まると、発作のタイプと脳波パターンに沿った投薬を考えられるようになる。確かにね、挿管に手間取って時間がかかってしまったときは、バルプロ酸ナトリウム(VPA)を注射するが一番だよ。

VPAを自宅でも服用していて、なおかつ効き目があると診断がついている患者や、過去にVPAの投薬で長時間の発作が軽減している特定の患者なら、てんかん重積状態を治療するためにまずVPAを使うのは問題ない。フェニトイン(PHT)の方がデータとしては有効性が高いけど、ベンゾジアゼピンを静注することは可能。小児科では2歳以上のてんかん重積症の子供にVPAを使っていくことは安全で、効果もあるというデータが出てるよ。

 

名無しの医学生1>ボストンの医師

まさにそれを聞きたかったんです。なぜフォスフェニトインとは対照的に、ロラゼパムからバルプロ酸へと、すぐには使えないのですか?バルプロ酸は他の抗てんかん薬より作用するし、効果が他に比べると「一般的」だと言われているのに、どうしてロラゼパムからバルプロ酸じゃなくて、ロラゼパムからフォスフェニトインなんですか?僕は何度か脳神経の臨床に立ち会ったことがあって、ずっとこの質問したかったんです。でも、そのときについていた医師が「セレビックス」と何度も言っていたので、この人に質問しても無駄だろうなぁと思っていました。

個人的な経験からの観察ですが、バルプロ酸はミオクローヌスにも効果があると思います。とても興味深いコメントをいただき、ありがとうございました!

 

名無しの医学生3>名無しの医学生1

ボストンの先生が言っているように、データの問題だと私も思うわ。フェニトインに関するデータはたくさんあるから、てんかん治療でよく使われるようになってるだけで、バルプロ酸(VPA)の方が効くというデータは少ないのよね。因みに、こんな研究を見つけたからコピペしておくね。

神経学 2006年7月25日;67(2):340-2

てんかん重積症におけるバルプロ酸ナトリウムとフェニトインの効果について:予備研究

Misra UK、Kalita J、Patel R.

けいれん性てんかん重積症(SE)を有する68人の患者を無作為に2つの群に分け、バルプロ酸ナトリウム(VPA)とフェニトイン(PHT)の有効性を研究した。てんかん発作はVPAを投薬した群では66%、PHTを投与した群では42%の確率で治まった。難治性疾患患者の場合、第2の選択肢として、VPAは79%の確率で有効であり、PHTは25%の確率で有効であった。2つの群における副作用に違いはなかった。バルプロ酸ナトリウムは、その高い有効性において、けいれん性てんかん重積症の治療に適切である。

 

名無しの医師2

デパケン(バルプロ酸、VPA)は発作に一番効きますよね。でも、最初の取り掛かりには処方しない薬です。もし、妊娠適齢期の女性に投与した場合に、他の抗てんかん薬(AED)よりも神経管に傷をつける可能性があるし、震えや、頭痛、セデーション、体重増加、アンモニアの濃度が高くなる肝性脳症、肝臓損傷、血液疾患、精神神経障害を引き起す副作用が言われていますから。発作の治療を始めるなら、患者さんはかなり長期間に渡ってその薬を飲むことになるということをまず頭に入れておいた方がいいですよ。副作用は患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を左右するだけでなく、投薬によるコンプライアンス違反で訴えられる可能性だってあるので。もし、あなたが担当する患者さんがその適齢期の女性だったら、デパケンは最期の砦としてキープしておくべきだと思いますよ。

もちろん、フェニトインも完璧な薬とは言えませんけど。私はケプラを静注することが多いです。レベルをチェックする必要がないですし、静脈内注入を行う必要もない。発現までの時間も短くて、肝臓の代謝に影響がないことや、副作用の情報が最小限であることも選ぶ理由です。データ上、妊娠中の女性にも処方できる安全な薬です。

 

名無しの医学生4

デパケン(バルプロ酸)をディランチン(フェニトイン)の後に使うという伝説は、部分的なてんかん症候群の患者さんの場合において症状を悪化させるというところからきてると思います。本当にまれな先天性てんかん症候群の患者さんには、これは本当だと思います。でも自分は臨床でそういう患者さんを診たことがないですね。フェイトニン(PHT)の代わりにケプラを使うって言ってる人がいますけど、自分は発作の治療としてそんなデータは見たことはありません。法医学の観点から言うと、ケプラのような薬を使う前にベンゾジアゼピンを使って、次にフェイトニンを、というのが義務付けられていますよね。その点からすると、左冠動脈主幹部(LMT)に対する治療を始めて、バルビツレート昏睡を開始する間にケプラやデパケンを使用することは可能かもしれない。

 

名無しの医学生5>名無しの医学生4

あのさ、検索すればすぐに出てきたよ。これ、コロンビア大学のヒルシュ教授が解説してるよ。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2566612/pdf/epc0008-0125.pdf

他にもPubMedにあったから自分で見てみたら。

 

ボストンの医師>名無しの医師2

発作の治療にはどれも有効だけど、患者のけいれんが45分間続いた場合、自分だったら震えとかの問題よりも心停止を防ぐことと気道確保をまず考えるね。一番効果が見込まれる薬を使いたいといつも思っているよ。確かにケプラ(レベチラセタム)は有望な薬かもしれない。でも自分の経験上、それほど優れた薬だとは思ってない。そこに固執する必要はないと思う。

 

名無しの医学生1>名無しの医師2

フェイトニンは妊娠適齢期の女性には絶対使わない方がいいじゃないんですか?実際に教わったことではありますけど、胎児性ヒダントイン症候群の原因になるからだということで。えーっと、とりあえず教わったことは横に置いたとして、第4週目までに神経管は閉じるのではないかと思ったんですけど、違うんでしょうか?でも胎児の発達を妨げますよね。もし女性に抗てんかん薬のフェイトニンを長期間に渡って処方するとしたら…、顔貌、多毛症、歯肉過形成などへの影響が考えられる?他にも肝毒性、小脳萎縮、血行不全、巨赤芽球性貧血とかも?それでも、もし何か処方しないといけないんだったら、自分だったらバルプロ酸かな。それでその後にフェイトニンかなぁ。法的にはたとえ胎児性ヒダントイン症候群の疑いがあってもフェイトニンを使うのかな。

僕は神経学とは関係ないですけど、ケプラを投与した後に双極性や躁状態になった女性患者を実際に見たことがあります。一瞬、ケプラはてんかん重積症の治療薬として食品医薬品局(FDA)の認可を得ていないのかとも考えたくらいでした。よく臨床試験中の薬について製薬会社がより多くの適応例を集めに戻るってことありますよね。例えばレクサプロがプロザックと同じレベルでFDの承認を取れると僕は思っていますよ。だけど、てんかん重積症はケプラのメーカーが申請にあたって適応と考えるに十分な「条件」なんですかね?ケプラを抗てんかん薬として認めることに反対の意見はないんでしょうか。どうも僕にはこの薬のメカニズムをちゃんと把握できていないように思えて仕方ないんです。みんな、なんていうか、うまく言えないですけど、リモコンのミュートボタンを押して爆発音が中継されないようにしているように僕には思えるんです。

 

軍医

これは興味深い話題ね。フォスフェニトインとデパコート(デパケン、バルプロ酸)の長期服薬に対するリスクは、確かに発作を止めるときの懸念事項ではないですよね。デパコートの静脈注射(デパコン)は、ケプラの静脈注射のように難治性てんかん重積症の患者さんに処方しますね。もし、発作が起きた患者さんにロラゼパム0.1mg/kgとフォスフェニトイン18~20PE/kgを投与したら、第2選択薬でデパコンかフェノバルビタールで治療、または第4選択薬として注射、それか、発作が続くようなら麻酔の使用も考えないと。でもこの方法はFDAの指示にはないんです。だけど現状はね、日常生活に少し支障が出るとか、それ以上の症状がある患者さんに適用することは本当に多いんですよ。

静注デパコンの研究で問題なのは、対象となった患者さんの多くは、すでにフォスフェニトインの静注を受けていたことでした。見解は様々だけど、デパコートはフェニトインを血清タンパク質から置換することから、より多くのフォスフェニトインを放出すると考えられていて、デパコートの方が優勢であると主張する人も確かにいます。でも私は、これで研究ができたとは言えないと思うのよね。この文献をじっくり読んだわけではないけどさ。特定の発作を悪化させるという例の話も、フェニトインにも当てはまると言われていることで、派生的に特にミオクローヌス、欠神、原発性全般てんかん(PGE)が症例として該当する。そのほかにも似たような発作を推測して治療にあたるわけなんです。

静注デパコンは、発作が発生したときに最高で200mg/kg/分まで上げることができるから選択肢の1つだとして頭に入れておいていいと思いますよ。次の式を利用して目標レベルまでデパコンの量を調整することができますよ。0.2x体重(kg)x(目標血清レベル-現在の血清レベル)=目標血清レベルを達成するための用量(mg)。実際この式を私はよく使います。低血圧を引き起こす症例の報告もとても少ないから、本当に実用的なんですよ。フェノバルビタールの処方を避けられれば、挿管も避けることができるし、少なくとも挿管に至るまでの時間稼ぎにもなります。製薬会社からお金をもらって言わされてるわけではないですけど、この式は難治性てんかん重積治療でロラゼパムとフォスフェニトインを処方した後の選択肢か、または静注に麻酔薬に加えて処方をしてます。フェニトインまたはフェノバールの代わりに、その次に処方してもいいのではないかとも考えています。低血圧や中毒症状のある患者さんの場合は、FDAが承認している適応症ではないですが、2006年に神経学上の研究に引用されていて、この処方は合理的な治療法であると証明されています。

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