直腸がん治療では、術後の化学療法は必要か?

抗がん剤の副作用は、科学も進歩により以前に比べて軽くなっていると言われますが、それでもゼロではありません。また、人によって効果がなかったり、癌の種類によっても効果のほどは様々です。もしも、抗がん剤の効果があまり見込めないのだとすれば…患者側としては投与を避けたいところですよね。今回は、直腸がんについて、術後の抗がん剤投与に関する議論を紹介します。

ここで出てくる5-FUは抗腫瘍効果のある薬剤で、消化器系のがんに広く用いられています。

 

臨床研修医 腫瘍学者や外科医は、

腹部への放射線照射は効果が低く、副作用が多い。

おそらく限局性の進行性直腸がんには、術前補助化学療法で十分効果が得られる。

と主張していている。

最近EORCT(ヨーロッパ癌研究・治療機構)が行った大規模な臨床試験では、術後に5-FUを投与したとき、当初予想したほどの効果が得られなかった。

http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(13)70599-0/abstract

だから、おそらく毒性を減らす観点からいうと、術後の5-FUの投与(たいてい6か月間)を控えるべきである。

 

外科医 君の意見に水を差して申し訳ないのだけど、

君は単に試験の概要の1つの「可能性」を指摘しているに過ぎない。もし君がその文書をすべて読んだら、化学療法が生存率全体に影響するわけではないことがわかるはずだ。これが、直腸がん患者を化学療法で治療するのを完全にやめろということを意味していると思うかい?だから手術前、手術後に5-FUの投与をしない?

よろしい。全直腸間膜切除に並行して放射線治療することは、実際のところ延命効果につながらない、いいね?でも、オランダにおける全直腸間膜切除の試験では、ステージ3の患者に限ってみれば、手術前に放射線治療した方が確かに生存率は良かった。それはただの亜群の分析だけどね。直腸がんにおいて、手術前後の放射線治療は全て延命効果に影響しない、という解釈は間違っていたのかもしれない…。さぁ、今からこのような患者の外科手術をして、彼らにきっと快復すると伝えてあげよう!

あとは、外科で病理組織学的な寛解率をみた論文がいくつかあるから、術前補助放射線化学療法の後に免疫賦活薬の投与を行うかどうかの判断の指標になるかもね。

 

外科医 医療現場の腫瘍学者は、術前補助療法から放射線腫瘍学を排除しようとたくらんでいる。ステージ3の腫瘍の多くは肝臓や肺で再燃し、局所での再燃はほとんどない。ステージ2においては、局所における再燃の確率はさらに低い。腫瘍学者は、術前補助療法を行うことによって外科手術の前に微小転移が起こるのを食い止めて、腫瘍の切除を簡単にしたいと思っている。T4腫瘍だったり、かなり深く浸潤した腫瘍を切除する場合、おそらくこれが安全策だろう。

実際のところ、直腸がんに対する術前補助治療から放射線治療が排除されるのも時間の問題だ。医療現場の腫瘍学者は、どれだけ薬物治療の毒性が減少するか、肝臓への転移を防ぐことによっていくつの命がよりたくさん助かるか、これらをいつも強調している。彼らは、きちんとした第Ⅲ相臨床試験を行って、これらが正しいことを示す必要がある。でも、論文では術前補助治療として化学療法のみ行ったデータがいくつかある。放射線療法は、いつも第Ⅲ相臨床試験を行わずに、治療効果がないとされてしまう。

 

臨床研修医 君は論点を間違って理解しているようだね。私の考えは5-FUを用いた術前補助放射線化学療法の臨床試験結果を踏まえたもので、(術後の化学療法がなくても)全直腸間膜切除でおそらく十分治る限局性の進行性直腸がんのことを指しているのだよ。この臨床試験は1000人以上の患者を対象としていて、10年の追跡調査をしている。もしこの臨床試験でも生存率の違いを検出するには不十分だと言うなら、ほかにどんな臨床試験をしたらいいのやら…私にはわからないな。

手術前の放射線治療が延命効果を立証できないという点には同感。だけど5年後の局所制御率が向上することは証明できる。例は多くはないかもしれないけど、顕著だ。だから、私が閲覧したEORTCの臨床試験を読んで、術前補助放射線化学療法と比較して、術後に化学療法を行った場合に生存率や局所制御の効果が認められないことを確かめて!

あと術前補助化学療法が微小転移を抑制する機構は理解できるけど、様々な治療法の群間で遠隔転移の差異を示すデータはなかったよ。

医療現場の腫瘍学者や外科医が直腸がん治療から放射線治療を排除しようとしているけど、私は放射線についてとやかく言う前に、自分がやっている治療法の調査をやったらどうだと言いたい。この点については君の意見に同意。

 

外科医 EORTCの臨床試験の問題は規模の大きさではない。大きな臨床試験だからね。でも、多くの大規模の臨床試験と同様に、同時にたくさんの疑問に答えようとして致命的なミスを犯している。EORTCの臨床試験では化学療法として5-FUしか投与していない。もし違う薬品で治療していたら、転移の抑制や局所制御についてすばらしい結果が得られたかもしれないよ。

 

さらなる臨床試験を重ねないと、結論は出ないようですね。

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